1992.2.1発行
日本分析化学会関東支部
関 東 支 部 ニ ュ ー ス
No.1
発刊のことば
この度、関東支部会員の相互情報交換の場として『関東支部ニュース』を発刊することになりました。ICAS'91や40周年年会等々のために作業がやや遅れましたが、やっと第1号が出せる運びとなりました。
はじめ、ということでやや力が入り、ぺ一ジ数も当初の予定より多くなりましたが、今後はむしろ気楽に長続きできる方向でやっていけるよう願っています。発刊の周期も、ぺ一ジ数も、記載内容も、今の所すべてオープンで、
いずれ様子が固まって来るものと考えています。本ニュースの配布方法も、全員にくまなく配るという姿勢ではなく、学会その他の折々に、積んである所から取って行って頂く、位にしようと思います。
ご意見、提案、感想、雑文、連絡事項等々、なんでも結構です。お気軽にお寄せ頂ければうれしく存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
杉谷 嘉則・康 智三・川久保 進
関東支部ニュース1号 もくじ
発刊のことば
特 集
− ICAS'91を顧みて −
高村喜代子
篠塚則子
岩附正明
交 流
神奈川大学周辺
東海大学周辺
山梨大学周辺
編集後記
特 集
− ICAS'91を顧みて −
日本分析化学会創立40周年を記念するICAS'91が無事終了した。非常に多数の参加者と講演件数を擁したのだから、組織委員はもとより直接運営に携わった方々の御苦労は並大抵ではなく、心から謝意を表したい。
連日発表きれた演題も多領域にわたり、分析化学分野の幅広さを象徴していた。筆者は“New Frontiers of Electroanalytical Chemistry”のシンポジウムに参加したが、国内外の演者により多岐にわたる方法論が、
表面分光分析・バイオメディカルなどの先端的分野との接点を求めて展開され非常に興味深かった。これらを通して旧交を温めたり、あるいは新たな知己を得たりで、豊富な交流の場になった意義は大きいと思われる。
会場の幕張メッセは新興京葉地区に新設されただけに、広々として立派でで、しかも大変静かな点はよかった。反面、いかに交通の便がよいといっても毎日通うとなると大そう遠隔地であるという不便感は否めなかった(と言うと、
千葉県の方々には申しわけないのであるが)。それに会場使用料がものすごく高く、又それに付随して周辺の宿泊料も食事代も高いという、もっぱらの噂であった。外人の方々はそれを察していたとみえて、
銀座(といってもはずれの方〉から遠く池袋あたりまでのビジネスホテルをリザーブきれていたのは少々驚いた。会場が遠く、かつ宿泊が分散していたので、ある空時間帯を利用して外出してまたもどる、ということが出来かねた。
それを反映してか、ある人達ゾロッと揃って不在なのが目立つ日もあったようである。
会場以外の看板とか掲示が少なく、かつ小さくて目立たないという声も聞かれた。これは会場に関する全ての費用が高く、又使用に関する制限が多いことによるらしい。例えば、看板一枚といえども何万円もの費用がかさむというのが実態らしい。
日本で開催されるイベントは、コンサートでもなんでも欧米に比べて格段に高いと評判されている。2001年には我が分析化学会も50周年に当り、再び大きなイベントを早くも期待されている。
10年もすれば大分事情も変わろうが、首都圏にも手頃で使い易い国際会議場が出来ればいいな、と願っている。
東京薬科大・高村 喜代子
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ICAS開催中、初日から受付に座って、寄附金をいただいた企業にお配りした一日登録券による登録業務に携わった。予想通り、plenary lectureのあった第1日と第3日に登録が多く、広く興味をもたれたことがうかがわれた。
“一日登録”という看板を出していたので、一日だけ一般登録が可能かという問い合わせが数件あった。国際会議の登録は決して安くはないし会期も長いので、一日単位の登録が出来れば参加者には便利であろう。
もっとも登録斜で開催費用のかなりの部分をカバーしなければならないとすると苦しい財政になりかねず、難しいところである。
東大生産研・篠塚 則子(募金委員会委員)
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ICAS'91に参加して、多くの興味深い講演を拝聴でき、また海外の研究者と旧交を暖めるとともに、新しい友人を得ることもでき、有意義に楽しく過ごさせていただいた。そんな中で残念であったのが、
目当てにしていた海外の研究者の講演が突然発表中止になったり、ときには座長もいなかったりしたことがかなり目立ったことであった。このようなことから、被招待者の選定や連絡について改善すべき点があったのではないかという印象を受けた。
日本では友人を得にくいという感想をもらした海外の研究者もいた。それにつけても思うのは、低所得国からの参加者のことである。国際会議の参旅費は日本人にとってもかなりの負担であるが、日本とは物価が著しく異なる国の研究者にとってはきわめて大きな負担であり、
そのために参加できなくて援助を求めてきた著名な外国研究者もいた。次回は、以上のようなことも含めて考える必要があるのではないかと思われる。国際会議の開催は国内会議の何倍も御苦労が多いことと思われる。
ICAS'91開催にご尽力下さった方々に心からお礼を申し上げます。
山梨大工・岩附 正明
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交 流
神奈川大学周辺
神奈川大学の本拠地は横浜市内にありますが、我が理学部は経営学部とともに平塚市西北部の丘陵地帯にあります。バスでJR平塚駅から25分、小田急線秦野駅から20分位の所にあります。ここを平塚キャンパスと呼んでいますが、
地元の人によれば昔は平塚のチベットと呼ばれていたそうであります。こう呼ばれるだけのことはあって、周辺は緑豊かで、町中ては見られない野生動物までも出現することがあります。窓の正面に大山連峰が広がり、反対側は富士山が大層大きく眺められます。
この富士山が眼前に見られなくなる、といって部屋の配置換えを拒否しておられる先生もいます。
平成元年のスタート時に1年生が入り(化学50名〉、2年、3年と進んで来年度からいよいよ卒研が始まるまでになりました。分析関連のスタッフとしては、藤原鎮男教授をはじめ、河村正一教授(環境分析化学)高木伸司教授(放射化学)、
天野 力助教授(クラスター化学〉。西本衣子助手(熱化学)、武井尊也教務職員(機器分析)、それに私がおります。いままで研究室には学生もいなかったのに、急に平均4〜5名ものしんまいの4年生がくるわけで忙しくなりそうです。
私の場合、卒研のテーマとして光音響法の分析化学への応用、希主類化合物の微量化学的研究、微粒子生成過程の光散乱による研究等いくつか用意していますが、しばらくはこちらも一兵卒になって勉強しながら顧張らねばなりますまい。
神奈川大理・杉谷嘉則
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東海大学周辺
一般に私立大学の入試は国立大学より早めに行われる関係上、教学関係の日程もその分だけずれた形で行われるようである。筆者が所属する東海大学理学部化学科では修士論文と卒研の要旨締切日が年明けの1月10日てあった。
修論要旨はB5の4頁に、また卒研要旨は1頁にまとめることになっているが、修論の要旨としては、結構長いものといえよう。従って実験は12月中旬までに終わってなければならないわけだが、要旨締切後に正確なデータが得られることもよくある。
今年度は修士3人と卒研生6人を担当しており、2月20日の修論発表に製本を間に合わせるためには、1月27日までに原稿が完成してなければならないとのことである。この短い期間中に3人の修論を添削することはちよっと大変であった。
その上、1月末までに提出しなければならない研究成果報告書の作成、学年末の試験とその採点等々、年末から正月は特に時間がたつのを速く感じた次第である。毎年こうであれば結構な身分といえるが、同じ年度で大学院生3人を担当したのは本学に奉職して以来
初めてのことであった。ちなみに昨年度は大学院生ゼロてあったし、研究成果報告書作成の必要もなかった。いよいよ2月1日から9日までは本学の入試期間である。まだまだ気の抜けない日々がつづきそうである。
東海大理・康 智三
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山梨大学周辺
山梨県のまん中、甲府市内に位置する山梨大学は「山の中」というイメージをもたれると思う。とは言っても新宿へは特急で一時間半あまりで、早朝の便は首都圏への通勤電車の感がある。
また、首都圏周辺に広がりはじめた大学の一部は県内にも入り、企業だけでなくなっている。
山梨大学工学部は、学科の再編成を終え博士課程も設置きれる予定である。関東支部ニュースの中で追々その状況が紹介されていく機会があると思うので、今回は、私の所属する研究室について述ぺさせて頂く。私の研究室は、エ学部化学生物工学科機能設計化学講座
(旧応用化学科工業分析講座〉で、深沢 力教授を中心に、岩附正明助教授は各種X線分析法を、私は反応速度を用いる湿式分析法を分担させて頂いている。また、深沢二夫技官はガス分析などを研究しており、研究室全体として、
種々の分析機器に化学的分離濃縮を組み合わせて超微量無機成分分析や状態分析を研究している。海外との交流も盛んで、過去、スリランカ、中国、インザ、バングラデッシュから7名の助教授、助手クラスの政府派遣または国費の公的な
研究者や学生が当研究室で研究しており、現在、ポーランドからの研究者は博士取得の研究をしており、中国からの修士在学者は博士課程に進学準備中で、エジプトとスペインからの公的な来学の話もある。
1991年はICASもあって、特に海外からの来訪者が多かった。
山梨大以外に山梨医大や新設の西東京科学大などがある。甲府市周辺の半導体関係企業等では研究機関を充実しつつある。その様な状況で、日本化学会山梨地区懇談会を設立し、県内の化学閣係の人々の交流を計画しつつある。
山梨大工・川久保 進
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編集後記
第1号としてICAS'91の特集号を出そうということでお願いしたところ、東京薬科大の高村先生、東大生産研の篠塚先生、山梨大の岩附先生より早速原稿をお寄せいただき誠に有難うございました。当方の不手際で発行が遅れたことをお詫びいたします。
今後、会員の方々から分析化学会、関東支部、学会誌等への意見、注文、研究室の紹介または身辺の出来事等々、気楽な気持ちで積極的に寄稿して下きることをお願いします。そして、本ニュースが会員相互の交流の場になることを期待しております。
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