1996.10.7 発行
発行者:日本分析化学会関東支部
関東支部を身近なものに
日本分析化学会の会員数は、現在、法人会員を含めて約9000、そのうち約4000が関東支部に所属しています。これだけ多数の会員の存在を、支部会員ご自身が日頃意識されるでしょうか。また、関東支部というものを意識されるでしょうか。
残念ながら、大半の方の答えは「ない」あるいは「ほとんどない」と予想されます。それはなぜでしょう。
その理由の一つは、大勢の支部会員が参加する支部独自の行事がないことにあると思います。「ぶんせき」6号(1997)520ページに掲載されている1996年度関東支部事業は次のとおりです:
第10回新潟地区部会研究発表会、第37回機器分析講習会、第11回パソコンのためのインターフェース回路実習(中部支部と共催)、第19回分析化学若手交流会(東北支部と共催)、第2回東京セミナー。
この他に数年ごとに開催される茨城、栃木、群馬、山梨の各地区講演会がありますが、他支部に比較して行事の少ないことがわかります。さらに、それぞれの参加者が200名を越えることはなく、言い換えますと、支部会員の5%以上の人が一堂に会し、
交流をはかる機会がないのです。
このような支部の状況は、それなりの原因があってのことと思います。例えば、行事を企画する支部役員の側から見た場合、学会本部の仕事に関東支部の多くの方が関与されていることも原因の一つではないかと思います。
なぜなら、本部の仕事に多くの時間を取られますと、さらに支部の活動に時間を割くのはたいへんであり、また、本部の仕事を通じて知り合いができますと、あえて交流の機会を増やす必要性を感じなくなる、ということが筆者自身の経験によっても想像されるからです。
理由はともかくとして、上記の現状は決して望ましいものではありません。支部は一部の会員の都合で運営されものではなく、支部に所属する会員全員のもので、所属するだけのメリットがあって当然です。
そのような反省も背景の一つとなり、新しい支部行事が企画されました。すなわち、9月3日より3日間、日本分析機器工業会の後援のもと、千葉市の幕張メッセ国際会議場および幕張プリンスホテルを会場に、第1回分析化学東京シンポジウムが開催されます。
会期を分析機器展に合わせ、日本版ピッツコンをイメージしています。内容は、特別講演、機器分析に関するシンポジウム、および支部内53研究室のポスター発表です。参加費は無料とし、気軽に参加できるようにしました。
このシンポジウムに多数の方が参加されて、単に知識を吸収されるだけではなく、相互のコミュニケーションを積極的にはかられることを期待しています。
また、本部がホームページを開設しているのを受けて、関東支部においても独自のホームページを開くことに致しました。従来、支部行事は「ぶんせき」の「お知らせ」欄に掲載していますが、より早くお知らせできるようにしたいと考えています。
関東支部は大規模であるために、会員のわずか1%程度に相当する役員で運営されています。そのため、全体を把握することがたいへん困難です。したがいまして、会員の皆さんから遠慮のないご意見、ご希望を支部幹事会へお寄せ戴き、
少しでも多くの方が関東支部に所属して良かったと感じられるような運営を心がけていきたいと考えています。関東支部を身近なものにするために、ご協力をお願いする次第です。
社団法人 日本分析化学会 関東支部
支部長 小熊 幸一
特集 企業の中の分析 |
「専門は何ですか?」このように聞かれた時、返事に困ることが多い。相手は「NMR(MS, GC, etc.)です」あるいは「食品分析(鉄鋼分析 etc.)です」といった答えを期待していると思われるからである。
「高分子分析で、使用頻度が高いのはNMR」と答えてきたが、いつも「なんとなく違う」という感をぬぐえない。企業の中で分析に従事する方々の中には同じようなことを感じる方が少なくないのではないだろうか。
私の場合、NMRによる高分子の構造解析が多かったとはいえ、扱った物質は低分子化合物、無機化合物、金属と様々であったし、使用した機器もGC、LC、IR、MS等々分析機器のかなりにのぼる。
自分で測定することはなかったが電子顕微鏡での観察もよく利用した。このことは企業における分析の役割を象徴しているように思われる。すなわち、何を明らかにするかが第一の課題であるので、どのようなサンプルを選び、サンプリングし、
どのような方法で測定すればよいかを考えると、対象も手段も多岐に亘らざるを得ない。ここを考えるのが企業における分析の醍醐味でもある。一方、20年程分析部門を経験したあと、開発に携わるようになって、強く感じるのは、分析結果をいかに読むかと言うことである。
分析上の制約があるにも拘らず、断定的な結論を下してしまっていたり、逆に分析的見地からは結論が出せなくても、周りの状況証拠を考え合わせると結論を導き出せることもある。
このように開発上の技術課題はそのままでは分析に取り掛かれないし、分析結果はそのままでは技術情報にはなり得ない。分析の開発への関わり方には様々な形態があるが、共通して必要なのは、開発上の技術課題を分析の課題に“翻訳”し、
分析結果を解釈して最終的に開発にフィードバック可能な技術情報に“翻訳”する力であると思われる。高度な分析上のスキルがあることはもちろん前提であるが、企業における分析に最も求められるのはこの“翻訳能力”ではないかと思われる。
これを分析担当者が行うか、開発担当者が行うかはケースバイケースであろうが、翻訳である以上、両方の言語と文化に通じていなくてはならない。現実に分析の経験を開発に生かそうと、自らスペクトルを読み、解析を試みているがなかなか難しい。
どちらの力が不足しているのであろうかと思い悩んでいる。
(株)ブリヂストン 研究部 加藤 信子
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「毎度ご利用頂き、ありがとうございます。」そんな電話をする様になって22年になる。昭和51年から今年3月まで、分析を受託する側に所属して依頼者と分析者の仲介役をしてきた。依頼分析との出会いは昭和29年、神奈川県工業試験所であった。
依頼分析受託の直接の担当ではなかったが「試験所の分析値は灯台の明かりのように頼りにしています」とか「クレームの濡れ衣が晴れて、従業員も家族も命拾いしました」とか云う依頼者の顔は今だに忘れられない。
また、結果はいかに正しくても依頼目的と違う分析をしてもらったのでは料金の無駄払いだ!」と怒る老いた声、「あの人は分析と言うものが分かっていない。あんな人は分析を依頼する資格がない!」と憤慨する若い声、この場面、
その後も何度か舞台と役者を変えて見ることになった。多くは分析目的の把握と伝達の不十分か。
分析受託業に従事したのは昭和51年からで在職中の日本鉱業(株)が社外からの分析受託を開始、中央研究所の分析営業担当になった。NMRなど有機分析との兼務で本業多忙の中、自分で機器の写真を撮って営業案内を作り、料金表を作って持ち歩いた。
以来20年余、同社の分析営業を担当したお陰で、分析室にいたのではお目にかかれない沢山の方々に知遇を得た。様々な問題を頂き、色々な分析をし、それぞれの解答をした。受託分析とは問題解決業であった。
依頼者の話をよく聞き、背後にある分析目的とニーズを理解し、次に何を知りたいのか、何をして欲しいのかを確認し、当方は何ができるかを説明する。それから、何を、どの程度まで、誰が、いつまでに、いくらでやるかを決めて行く。
それが受託者の仕事、依頼者と分析者への両面作戦である。板挟みで楽ではないが、意外に面白い日々であった。またお客様を訪問し、潜在的な分析ニーズを掘り起したり、お客様を増やすために初対面の方の所へも週に何箇所かはお訪ねした。
これは楽しい仕事であった。
平成7年8月からナノサイエンス(株)と契約し、同社業務の一部である分析受託のお手伝いをした。分析室も機器もなく、受託試料は全て米国チャールズエバンス・アンド・アソシエーツ社やエバンス・イースト社に送り分析して貰う。
分析全般ではなく、固体試料の表面分析のみを専門に扱う仲介業である。試料は軽小で送り易く、情報交換も容易迅速で納期も早かった。彼らの多数の機器と多様な人材、高度の知識と豊富な経験、それらを日本から容易に利用できる時代である。
国内の分析受託業各社からも、色々とご利用頂いた。「競合よりも共存、反発よりも活用、是非一度お試しを」と売り歩いた。
日本鉱業、日鉱共石、ジャパンエナジー、ナノサイエンスと、色々名刺を持ち歩いたが、今は自由の身、それでもなお分析関連のご相談をくださる方がまだある。共に考えて作戦を練り、パートナーとしてご相談に応ずるのは楽しく、気分はもう現役、
「毎度ご利用頂き、ありがとうございます。お役に立つことがありましたら、またお声を。」
元ナノサイエンス(株)分析営業部 顧問 小山 隆
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分析装置と一言で言っても小型のものから大型のものまで種々様々である。価格にして千万円をおおよその境として、それぞれ製造法販売法もかなり異なっている。私共はどちらかと言えば大型の分析装置(NMR、磁場型質量分析装置や電子顕微鏡など)を主に製造、
販売をしている。“なぜ大型の装置なのか”との問いに対しては“小型の装置を安く作り、効率良く販売する能力がないからです”との答えになるであろう。
大型の装置では、流れ作業による大量生産とはいかず、一台一台手作りの少量多品種の生産方式を取らざるを得ない。世界一人件費の高い日本において手作りで製造していると当然、その分原価は高くなってしまう。
世界中に競争する機種がなければ、少々値段が高くてもその装置は売れるであろうが、なかなかそんな都合の良い話しはない。必ずどこかに競争機種が存在することになる。
従って、製品の価格は競争原理のもとに決定され、当然のことながら為替の変動によっても変化する。
このような背景のなかでも多少なりとも利益を得るために、製造時の無駄をなくし効率アップを図る多大の努力が払われている。しかし中には熟練経験者の職人技を必要とするような部分があったり、
最近ではISOなどの制約も多くなってきたりして合理化もままならない。
一方、大型装置の宿命として、多くの機能を有し、かつ最高の性能を目指さざるを得ない。そのため機能は複雑になる傾向にあり、製造時のチェック項目が増える。それは合理化とは逆行することになる。
また、競争力のある商品であるためには、常に新しさを求め、世の中に新しい技術が開発されると、できる限り速く装置に取り入れなければならない。分析装置を購入し使用するお客様の多くが常に最先端を求めている。
そのため分析装置を製造販売する当事者としては常に新しい装置の開発に取り組んでいかなければならず、多大の研究開発費を必要とすることになる。しかも最近の装置はコンピュータによるコントロールとデータ処理は当然であり、
それにより操作性や機能がアップしていることも事実である。そのため昨今のようにコンピュータの性能が急速に変化しているときは、常に新しいコンピュータに対応するためのプログラムの変更が要求され、対応できなければ装置全体のイメージが古くさくなってしまう。
“世の中の多くの商品が同様な状況に置かれているのかもしれないが”。従って分析装置の商品寿命は平均5年程度であろう。ところが分析装置の製品寿命はと言うと納入してから10年以上は当然要求される。
製品の寿命は平均12〜15年となっているのではないだろうか。従って、納入装置のメンテナンスとしてのサービスフォローは古い装置から新しい装置までに対応する多大の人数と部品の確保が必要になる。
思いつくままに分析装置を製造、販売するための条件や環境を書き並べてしまったが、改めて分析装置の置かれた環境を見渡すとビジネスとして儲かりそうでないことが浮き彫りになってしまったようである。
時には飲料水の中の有機物の分析やゴミ焼却炉におけるダイオキシンの分析などの突発的な市場ができたりしてその恩恵に与かることもあるが、何れにしても“濡れ手に粟”と言えるようなビジネスではないことは事実であろう。
むしろ非常に地味なビジネスと言えるのではないだろうか。しかしながら分析機器の製造、販売に携わっている人達の多くは環境悪化の監視や科学の発展に商品を通して間接的に携わっているのであると言うような一種の自己満足や、
常に新しいことに挑戦する好奇心に支えられている面も多分にあるように思われる。
日本電子(株) 今成 司
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米のなかのCdの濃度が1ppmを越えると食用にできない。ある農協で新米のCdの分析をしたら1ppmを越えた。担当者は驚いて相談にこられた。また、ある分析室で河川中のHgを分析したら0.001ppmという高い濃度を示した。この上流にある化学工場が疑われた。
この工場では絶対にHgは流していないと云う。この例をみても如何に社会と分析が関係しているかが理解できると思う。
このとき、この数値の信頼性を問う人はどれだけいるであろうか。排水中の水銀は古い基準では不検出になっていた。時代と共に1000倍も高度な方法が開発された。これで測定すれば必ず数値が出る。
そして、数値は外部に知れただけで、それが独り歩きをしてしまうことがある。
このような混乱を防ぐためにJIS法が設定されている。JIS法に従って分析しているのだから、問題はないといって居るが本当だろうか。疑問を挟む余地はないのか。最近、強調されはじめたのが Official method から Traceable method へという考え方で、
すなわち Traceability to the SI units (1kg, 1m)の概念である。これを起点にして正確さが、一次標準法、一次標準物質、二次標準法、二次標準物質を伝わって、われわれの測定結果に結びつく。
逆に測定結果はこれらの標準物質、方法を通して原点である 1kg, 1mにたどり着く。この Traceability が保たれるとはどのような事なのか。一例を挙げると、血中のナトリウム、カリウム、塩素イオンの測定は病院によって大きく違い比較しようがなかった。
ここに Traceability のはっきりした標準物質を用い、各病院の測定結果を校正させ、これをもって測定値を出させた。この実験に参加した茨城県では、主たる病院30ケ所の値が許容範囲内で一致し、どの病院に行っても同じ値が得られることになった。
しかも、この値は SI unit に向かっているので、世界中のどの病院で得られた値とも比較できる。
総ての分析値が SI unit でくくれるのかと云うと必ずしもこの様には行かない。このため、Traceability はある標準試料、標準法を原点にせねばならない。ここに International comparison とか、
Horizontal traceability と云う概念が生まれて来る。原器がないとするならば、どこかで新しい標準を作らなければならない。しかも、これは Top down の形で作られ、かつ各国で受け入れられるものでなければならない。
国際度量衡委員会(CIPM)の下に各国の国立研究所、またはそれに代わる機構があり、この下にまた下部機構があり、さらに日常の分析業務にたずさわる分析所がある。このCIPMのもとで特定の分析はこの物質、方法を基準にすると定める。
この様にすれば SI unit へたどり着けないものでも Traceability が明確になり、世界中で容易に比較できる。
残念なことに、日本がCIPMで活動しているのは物理計測のみで化学計測は入っていない。CIPMの下部機構でアジア太平洋地区をまとめるAPMPを例にとっても Photometry はオーストラリアがとりまとめ、参加しているのはインド、ニュージーランドである。
標準物質は中国で、韓国、日本、インド、フィリッピン、香港が参加している。日本は、光の検出器、分光光度計は世界のトップに位置するのに、なぜか国際社会に出ると隅っこの方に座らざるを得ないのか、かねがね残念に思う次第である。
米、英のように国立研究所が正面に出て指導力を発揮しているところもあると思えば、オーストラリアのように非営利の民間団体が全面に出ているものもある。独では政府と民間の合同組織でこれに当たっている。
日本の化学の度量衡は世界の孤児になり、JIS法で分析しましたと云っても、香港に持って行ってもう一度再測定をして下さいと云われることになりかねない。
(株)日立製作所 保田 和雄
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第38回機器分析講習会を振り返って
今年も6月より7月まで、3コースに分れて関東支部主催の機器分析講習会が開催されました。今年で38回、しかも毎年どのコースも盛況というお話しですので、私をはじめ実行委員の先生方一同気の引き締まる思いでした。
コースは例年人気のあるICP発光分析・ICP質量分析、HPLC、それに有機組成分析を取り上げ、3コースとしました。しかし、HPLCについては、今年は少し独自性を出そうということで、キャピラリー電気泳動を加え「HPLCとキャピラリー電気泳動の基礎と実際」にし、
期間も4日間としました。ところが、4日間であること、受講料も少々お高くなる等の理由から、例年より、受講者数が減り、50名弱となってしまいました。これまでは70名強と人気のあるコースであっただけに、コーディネータで副支部長の東京理科大 中村 洋 先生には、
本当に申し訳なく思っております。もっとも、50名弱という数字も良く考えてみるとすごい数字でして、あらためてHPLCのコースの人気に驚いた次第です。他のコースも約60名と上々の受講生数で私共ほっとした次第です。
ところで、弊社からも、3名参加させていただきました。内、一名は新人です。後で正直な感想を聞いたところ、非常に勉強になったと全員が答えてくれました。理由は簡単で、「実習、演習など、主体的にものを考え、
自らが勉強できるカリキュラムになっているから」なのだそうです。新人はともかく、他の2名には、これまでも、多くの講習会に参加させました。そこでの講習は、講演主体で、ややもすると講師の研究紹介に留まる、いわば、
一方通行的なものであったようです。受講生の立場にたった我が支部の講習会に人気のない訳はありません。おそらく、これからも、関東支部の重要な活動として確実に発展していくことでしょう。
最後に、ご指導いただいた小熊支部長、コーディネータとして、全力をこの講習会に傾注して下さった東京理科大 中村先生(HPLC)、東大 樋口先生(有機組成分析)、国立資源環境研 田尾先生(ICP)に心から感謝いたします。
NTTアドバンステクノロジ(株)材料開発&分析センタ 黒沢 賢
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第1回 分析化学東京シンポジウム
9月3日〜5日の3日間、日本分析化学会関東支部は、第1回の分析化学東京シンポジウムを幕張国際会議場および幕張プリンスホテルで開催します。日本分析機械工業会の後援のもと、幕張メッセで開催される分析機器展に併設するかたちで行われます。
講演者だけでなくポスター発表者も招待形式にしたのが特色で、第1線の研究者が分析分野の発表を行います。
米国ピッツバーグ会議のように、シンポジウムに参加しながら最新の機器や製品紹介などを見聞きすることができる形式は、日本でも以前、応用スペクトロメトリー東京討論会で試みられましたが、今後新たに定着させるということで企画されました。
将来は,別に開催されている機器分析東京討論会、ASIANALYSIS(アジア分析化学会議)や他の分析化学関連のシンポジウム、討論会などが同時開催されるようになるとよいと思います。このシンポジウムは少なくとも5年間は開かれることになっています。
分析化学の年会は全国津々浦々を回っていきますが、これは関東支部の主催なので関東近郊で行います。多くの会員の方々がおられる関東近郊の方にとってはアクセスしやすいと思います。行く行くは日本分析化学会の本部事業になればよいと思っています。
関東支部の方々はもとより多くの分析化学関係者にとって中心的学会に成長することを祈念致します。
東京大学 大学院理学系 梅澤喜夫
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東京シンポジウムの聴講者は、ポスター発表を除き、人数を把握できた講演関係で延べ3240名に達した。仄聞するところでは、同時開催の分析機器展参加者数は昨年と同等、新技術説明会は8%の参加者増とのことで、
機器展の日程が通常年の4日から3日に短縮されたことを考慮すると明らかな相乗効果が見られたと言えよう。
特別講演および「機器分析の可能性と将来について」のシンポジウムは、文字どおり現代の碩学と呼ぶにふさわしい諸先生が、一つの領域の本質を最先端に至るまで総括した贅沢な企画であった。
内容の深さは言うまでもないことであるが個人的には、講演される先生方のいかにも「研究を楽しみ、その分野に夢を持つ」姿勢が印象的であった。
ポスター発表も盛況で、規定時間では熱の入ったディスカッションが終わらないケースもよく見られた。
「分析値」に関する」シンポジウム4件は予想外の聴衆・延べ参加人数の約半数を集め、会場に入りきらない盛況であった。分析化学に従事する、おそらく大部分は企業の人間が実務にあたって今求めている情報は何か、
如実に示す現象と言えるのではないだろうか。試験所認定制度を始め分析の品質管理規制の動きと、ルーチン分析で現実に問題を抱えているとこととが相俟ってこの状況になったのではないかと考えている。
第一回東京シンポジウムについて、諸方の意見・批判を総合して評価がまとまるのは今後のことであるが、個人としては「ここに来て得られる情報」は飛躍的に増加したと思う。来年が楽しみである。
大日本インキ化学工業(株) 高田 加奈子
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大日本インキ化学工業(株) 高田 加奈子
支部ニュースを担当して2年目になります。1年目は右も左も判らず、いつの間にか支部ニュースが出来上がっていたという始末。2年目は本来私が先頭を切って取り組まなければならないところ私事でてんやわんや、 結局今年もいつの間にか支部ニュースが出来上がっていたという始末です。もし、タイプミスがありましたら、年会に間に合わせようと大慌ての私に免じて許して下さい。
武蔵工業大学 エネルギー基礎工学科 岡田 往子
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